書評: AI vs 教科書が読めない子供たち ~シンギュラリティは来ないが果たしてそれでも人間はAIに勝てるのか~

 

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

AI vs. 教科書が読めない子どもたち

 

 どうもしおにゃんです。

 

今回はAI  vs 教科書が読めない子供たち。

今までAIといえば

"人間の仕事を奪う"

"そのうち人間を支配するようになる"

"結局人間の仕事を手助けするだけだ。人間はより必要な仕事に従事でき、進歩のスピードが上がる"

 

などなど様々な言説が飛び交ってきました。

本書はAIが東大に合格できるかという”東ロボ”で有名な数学者の型が

真剣に東ロボで現在のAI技術に向き合い、その能力と限界

そして最終的に人間はどのような力を持つべきかにまで考察した

AI時代に読むべき一冊であると感じました。

数学者らしい理路整然とした書き方で、少し難解な部分もありますが

できるだけ平易に解説されています。

 

では内容にいってみましょう。

私の書評は作者のため毎回核心がわからないようにかなりざっくり書いています。

しっかり理解してみたい人は是非一読をお願いします。

 

 

1. AIの歴史と今後の展望~シンギュラリティは来ない~

 

AIという言葉は三回大きなブームを迎えています。

現在のブームはその三回目に当たります。

今回のAIが用いている手法は皆様もご存じdeep learning

しかし手法を変えても結局はコンピュータなので計算しかできません。

その能力を活用して統計的、確率的に最も確からしい値を求めていくのが現在のAI。

果たしてこれが人間と同じ思考でしょうか。

例えば、人間には文章の意味が分かるといわれていていますが

AIは文章の意味を理解せず、質問への答えは

確率的にありえそうなものをはじき出すのみです。

計算しかできないAIは文章を理解していないうえ、常識も持つことができません。

常識は数式で表せないからです。 

 

この数学的な限界を超えない以上、シンギュラリティは来ないといえそうです。

 

2. 東ロボ君の挑戦。~AIは大学入試は突破できるか~

 

前述したように人間と同じ思考法では大学入試に挑めない東ロボ君。

そのため何人もの学者が”機械ならでは”の方法で解こうとします。

 

しかし結果はなんと、、”8割以上の入試大学生よりもいい成績をとる"です。

すると本格的にAIがやってきたときにひょっとすると8割の大学卒の仕事が置き換わってしまうのでは、、と想像されるわけです。

実際は50 %以上が置き換わるリスクのある仕事だとするレポートもあります。

 

3. 教科書が読めない子供たち

 

 

どうして文章の意味を理解しないAIよりも点数の取れない子供たちが多いのでしょう。

筆者は子供たちがひょっとして教科書の記述をしっかり読み切れていないのでは

という仮説にたどり着きます。

 

筆者は独自の文章の記述をその通りに読み解く力のテストを実施しました。

すると実態が浮き彫りに。

AIよりも人間が勝っていたはずの読解力において

人間側も一部分野ではさいころの目のと同程度のランダム性でしか正解しない分野があったのです。

読解力を上げる方法は様々な因子を考えるも見当たらなかった筆者は

これを今後の展望に挙げています。

最終的には研究が進んで読解力が上がる方法が見つかるとよいのですが、、、

 

最終的にAI時代に何の力が必要なのか。これを提言して終わっています。

これは読んでからのお楽しみとしましょうか。

しっかり今後を生きる力を身に着けていきたいものですね。

 

4. 感想

 

読んでいる間、果たして自分もこの文章含め言葉というものを正確に把握できているのだろうかと

背筋が寒くなる思いもしました。

しかし、AIがまだ仕事をごっそり奪っていない現代にこの本に出合えたのはある意味よかったのではないかと思います。

ちなみに文章中に出てくる読解力テストはRSTといい

受けられるみたいなので興味がある人は受けてみるといいかもしれませんね。

 

それでは。

また今度。